日本語に強い視覚言語モデル LLM-jp-4-VL 9B を追加しました
llm-jp-4-vl-9b を追加しました。国立情報学研究所(NII)が主宰する LLM-jp が 2026 年 4 月 14 日に公開した、日本語向けの視覚言語モデル LLM-jp-4-VL 9B beta です。単価は入力 ¥55 / 出力 ¥125(1M tok・税込表示)で、Gemma 4 31B と同額の低価格帯です。
日本語の文書・図表・スライドの読み取りを主用途に想定したモデルです。日本語 10 タスクの平均で Qwen3-VL-8B-Instruct とほぼ同等のスコアを出す一方、英語タスクと汎用的な推論では同サイズの海外モデルに届きません。用途を日本語の画像理解に絞って使うモデルです。
特徴
9B の視覚言語モデル
llm-jp/llm-jp-4-8b-instruct(8.6B)を言語モデル、google/siglip2-so400m-patch16-512(0.4B)を画像エンコーダとし、2 層 MLP のプロジェクタで接続した構成です。アーキテクチャは InternVL3.0 を土台にしています。モデルカードは Hugging Face(Apache 2.0)、開発の詳細は LLM-jp のブログにあります。
日本語データで学習した画像理解
学習データは英語の FineVision(約 2,420 万事例)と、LLM-jp が新たに構築した日本語データセット Jagle(約 920 万事例)の混合で、合計約 180B トークンです。日本語の文字認識、日本文化の知識、日本語の文書・図表の読み取りがこの学習の中心です。
高解像度画像への動的タイル分割
入力画像のアスペクト比に応じてタイル分割数を決め、タイルごとに符号化して連結します。固定解像度への縮小で失われる細部を保ちながら画像全体の構造も扱えるため、文書やスライドのような文字の多い画像に向きます。
ベンチマーク(LLM-jp 公表値)
LLM-jp はブログで、Qwen3-VL-8B-Instruct・InternVL3.5-8B・Sarashina-2.2-Vision-3B との比較スコアを公表しています。
| ベンチマーク | LLM-jp-4-VL 9B beta | Qwen3-VL-8B | InternVL3.5-8B | Sarashina-2.2-Vision-3B |
|---|---|---|---|---|
| 日本語 10 タスク平均 | 70.8 | 71.1 | 56.9 | 65.0 |
| JGraphQA-Refined | 89.1 | 87.2 | 85.2 | 80.3 |
| JA-Multi-Image-VQA-Refined | 88.7 | 86.8 | 61.6 | 52.8 |
| MECHA-ja | 72.0 | 63.9 | 57.2 | 67.8 |
| JMMMU | 54.0 | 51.7 | 49.8 | 47.3 |
| JDocQA-Refined | 73.7 | 86.5 | 59.0 | 66.4 |
| BusinessSlideVQA | 61.4 | 70.8 | 58.0 | 63.7 |
| CC-OCR-Ja-Refined | 68.0 | 74.3 | 51.0 | 63.2 |
| JA-VLM-Bench-Refined | 69.4 | 66.0 | 46.9 | 71.4 |
| Heron-Bench-Refined | 63.6 | 61.7 | 51.1 | 68.2 |
| CVQA-JA-Refined | 68.0 | 62.0 | 49.0 | 69.0 |
| 英語 10 タスク平均 | 71.1 | 77.0 | 74.0 | 59.4 |
日本語 10 タスクの平均は 70.8 で、Qwen3-VL-8B の 71.1 とほぼ同等です。複数画像の比較(JA-Multi-Image-VQA-Refined)、図表の読み取り(JGraphQA-Refined)、日本語 MMMU(JMMMU)、日本文化の知識(MECHA-ja)では Qwen3-VL-8B を上回っています。
一方で届いていない指標もあります。文書 QA(JDocQA-Refined、73.7 対 86.5)、ビジネススライド QA(BusinessSlideVQA、61.4 対 70.8)、日本語 OCR(CC-OCR-Ja-Refined、68.0 対 74.3)は Qwen3-VL-8B に劣ります。英語 10 タスクの平均も 71.1 で、Qwen3-VL-8B の 77.0・InternVL3.5-8B の 74.0 を下回ります。日本文化の知識を問う JA-VLM-Bench-Refined・Heron-Bench-Refined・CVQA-JA-Refined では Sarashina-2.2-Vision-3B が上位です。
測定は LLM-jp の評価フレームワーク simple-evals-mm によるもので、各設定 3 回実行の平均値です。-Refined が付くベンチマークは、LLM-jp が既存の日本語ベンチマークの不良事例を修正した JAMMEval 版のため、元データセットの公開スコアとは直接比較できません。いずれのスコアも LLM-jp 自身による測定で、第三者の独立評価ではありません。
使い方
model に llm-jp-4-vl-9b を指定します。
curl https://hai-api.hcloud.ltd/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer hai_..." \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "llm-jp-4-vl-9b",
"messages": [{"role":"user","content":"このスライドの要点を箇条書きにしてください"}]
}'
画像は OpenAI 互換の image_url コンテンツで渡します。
curl https://hai-api.hcloud.ltd/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer hai_..." \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "llm-jp-4-vl-9b",
"messages": [{"role":"user","content":[
{"type":"text","text":"この画像に含まれる文字を全て抽出してください"},
{"type":"image_url","image_url":{"url":"data:image/png;base64,..."}}
]}]
}'
注意点
- ツール呼び出し(
tools/function calling)に対応していません。toolsを渡してもツール定義はモデルに渡らず、400 にもならずに通常の応答が返ります。エージェント用途には他のモデルを使ってください - コンテキストは 32K(32,768)トークンで、現在のカタログで最も短いです。 入力と出力の合計がこの範囲に収まる必要があり、実際に入力へ使えるのは出力上限 8,192 トークンを差し引いた 24,576 トークンまでです。長文が必要な場合は
gemma-4-31b-it(256K)やdeepseek-v4-flash(1M)を使ってください - 画像 1 枚で数千トークンを消費します。 タイル分割の数は画像の解像度とアスペクト比で変わるため、高解像度の画像を複数枚渡すとコンテキストを使い切ります。1 リクエストあたり数枚までを目安にしてください
- 思考しないモデルです。
reasoning_effortは効かず、レスポンスのreasoning_contentに内容のない文字列が入ることがあるので無視してください - 入力はテキストと画像のみで、動画には対応していません
- 日本語の回答が短く素っ気なくなる傾向が、LLM-jp 自身により今後の課題として挙げられています。詳しい説明が必要な場合はプロンプトで長さを指示してください
- ベンダーが beta 版として公開しているモデルです